Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.760 caratteri · 24 schermate
桟へ指を掛けていた藤吉の腕のなかへ、なんのことはない、※(「毬」の「求」に代えて「鞠のつくり」、第4水準2-78-13)のように彼は転がり込んで来たのだった。急には口もきけないほど、息を弾ませているのが、なにごとかただならぬ事件の突発したことを、ただそれだけで十分に語っていた。半面に白い物の消えかかった顔の色は、戸外の薄明りを受けて、さながら死人のようであった。隙洩る暁の風のためのみならず、さすがの藤吉もぶるっと一つ身震いを禁じ得なかった。
「朝っぱらからお騒がせ申してすみません。」と腰から取った手拭いで顔を拭きながら、仙太郎が言った。出入り先の徳撰の店でたびたび顔を合しているので、この若者の人普外れて几帳面な習癖を識っている藤吉は、今その手拭いがいつになく皺だらけなのを見て取って、なぜかちょっと変に思ったのだった。
「誰かと思やあ、仙どんじゃねえか、まあ、落着きなせえ、何ごとが起りましたい?」
「親分、大変でごぜえますよ。」
と仙太郎はおずおず藤吉の顔を見上げた。
「ただ大変じゃわからねえ。物盗りかい、それともなんかの間違えから出入りでもあったというのかい。