Classici giapponesi con furigana
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ぎんさんじゅうまい
銀三十枚
国枝 史郎
Leggi 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.863 caratteri · 73 schermate
「ついては貨幣をお貸ししましょう。その紋章を調べるだけでも、趣味があるじゃアありませんか。一枚と云わず三十枚、みんな持っておいでなさい。実は私は明日か明後日、またちょっと旅行に出かけますので、当分それは不用なのです。紛失されてはいささか困りますが、紛失なるような物ではなし、お貸しするとは云うものの、その実保管が願いたいので、ナーニご遠慮にゃア及びません。……それはそうと随分重い、とても持っては帰れますまい。ひとつ貸自動車を呼びましょう」
事実私はその貨幣にも、貨幣の紋章にも興味があった。そうして物語に綴るとしても、何かそういう貨幣のような、物的参考があるということは、確実性を現わす上に、非常に便利に思われた。
私は遠慮なく借りることにした。
その中タクシがやって来た。
佐伯氏は貨幣を革財布へ入れ、そうしてタクシへ運び込んでくれた。
「いずれ旅行から帰りましたら、お手紙を上げることにいたしましょう。いや私がお訪ねしましょう。文士の家庭を見るということも、ちょっと私には興味があるので、しかしこんなことを申し上げては、はなはだ失礼かもしれませんな」
佐伯氏は玄関でこんなことを云った。