Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぎんさんじゅうまい

銀三十枚

国枝 史郎

Leggi 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.863 caratteri · 73 schermate

Aozora Bunko

町を歩きながら立ち止まり、電信柱へ倚りかかり、湧き上って来る空想を、鼻紙の上へ書いたりした。

ある夜空想が湧き上って来た。折悪しく鼻紙を持っていなかった。一軒の商店の板壁へ、万年筆で書き付けた。そうして翌朝出かけて行き、写し取って来たような事さえあった。

今に私は往来の人の、背中へ紙をおっ付けて、そこで書くようになるかもしれない。

創作力に充満ていた。それをこんなつまらないことで、破壊されるのは厭だった。

急に妻は変に笑った。ゾッとするような笑い方であった。それから私をからかい出した。

「無理はないわね、貴郎としては。そうら出入りの呉服屋さん、ちょっと相場で儲けたと云って、白金の腕時計を巻いて来たらニッケルにしちゃアいい艶だって、こんな事を云ったじゃアありませんか、そうかと思うと妾の時計、そりゃあニッケルとしては類なしで、金時計より高価んですけれど、こいつア素晴らしい白金だって、大騒ぎをしたじゃアありませんか。白金だか銀だか解らないのは、ちっとも不思議じゃアありませんわね」

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「何だ莫迦め!」と呶鳴り付けた。

「そんな事を云い出して何になるんだ」

だが彼女はますます笑い、ますます私をからかった。