Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ぎんさんじゅうまい

銀三十枚

国枝 史郎

Leggi 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.863 caratteri · 73 schermate

Aozora Bunko

将しく彼女には審美眼がある。だが以前の彼女には、すくなくともマチスに憧憬れるような、そんな繊細な審美眼は、なかったように思われる。長足の進歩をしたものさなあ。もっとも驚くにはあたらない。彼女は伯爵夫人だからな」

私はまたもや私へ云った。

「よろしい彼女は伯爵夫人だ。それはどうしても認めなければならない。ところでここに困ったことには、彼女が伯爵夫人なら、ともかくも良人たるこの私は、自然伯爵でなければならない。私よ、伯爵を引き受けるかね?」

私は私へ云い返した。

「いいや私には荷が勝っているよ。けっきょく私は引き受けないよ。何故だと君は訊くのかい? 説明しよう。こういう訳だ。虹と宝石と香水と、こういう物に蔽われている、深い泥沼があったとしたら、誰だって住むのは厭じゃアないか。孑孑でない限りはね。ところで伯爵で居たかったら、そこに住まなければならないのだよ。と云うのは現在の生活が、その泥沼の生活だからさ」

大して気の利いた譬喩でもなかった。

「まあさ、それはそれとして、彼女は伯爵夫人だのに、どうして料理人を雇わないのだろう?」

私はこんな事を考え出した。

「二人の女中、一人の書生、五人ぐらしとは貧弱だなあ。