Classici giapponesi con furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Leggi 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.745 caratteri · 216 schermate
産毛が一面に生えていたが色はあざやかな黄金色であった。人間の肌には相違ない。が、しかし、その人間が……肉の一所が脹れ上がり見るも恐ろしい紫色に変色してるばかりでなくその真ん中と思われる辺に一つの小さい突き傷があり突き傷は随分深そうであった。細い鋭利な金属性の物で深く刺されたものらしい。
この時までの専斎は見るも気の毒な臆病者であったが、怪我人の傷を一眼見るや俄然態度が緊張まった。つまり医師としての自尊心が勃然湧き起こったからであろう。彼は片手をズイと差し込みそろそろと肌にさわって見た。
「……第一肋。……第二肋。……うむ別に異状なし。……肺の臓? ええと待てよ…… ふむ、なるほど。ちとあぶなかったな。……しかし、まずまず危険には遠い。……あっ、しまった! 肺尖が! ……」
心の中で呟きながら専斎はズンズン診て行った。
「……一分、いやいや五厘の相違で、幸福にも生命を取り止めたわい。……」
「専斎殿、お診断は?」
覆面の老人が囁くように訊いた。
「大事はござらぬ。幸いにな……」
「さようでござるかな。それで安心。……」老人はホ――ッと溜息をしたが、その様子でその老人がどんなに心配をしていたかが十分想像出来そうである。