Classici giapponesi con furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Leggi 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.745 caratteri · 216 schermate
ここにもある六歌仙
専斎は懐中から紙入れを出した。キラキラ光る銀色のナイフ、同じく鋸、同じく槌、それから幾本かのピンセット。――外科の道具を抜き出したが、まず一本のナイフを握ると一膝膝をいざり出た。……患部へ宛ててスッと引く。タラタラと流れ出る真っ赤の血を用意の布で拭い眼にも止まらぬ早業で手術の手筈を付けて行く。
もうこの時には彼の心には、陰森と寂しい部屋の態も、痩せた覆面の老人の姿も、確かに人間ではあるけれど人間ならぬ不思議な肌の小気味の悪い患者のことも、ほとんど存在していなかった。彼の心にあるものは、危険性を持った奇怪な傷をどうしたらうまく癒せるかという医師的責任感ばかりであった。
こうして間もなく消毒も終え、クルクルと繃帯を巻き了えると、
「これでよろしい」と静かにいった。「熟みさえせねば大丈夫でござる」
「熟みさえせねば?」と不安そうに、「いかがでござろう熟みましょうかな?」声は不安に充ちている。
「いや、九分九厘……大丈夫でござる」
「それはそれは有難いことで」
いうと一緒に手を延ばしスーと金屏風を引き廻した。
「しばらく……」というと立ち上がり広い座敷を横切って行く。