Classici giapponesi con furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Leggi 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.745 caratteri · 216 schermate
寂然と後は静かであった。常夜燈の灯がまばたいた。ギー、ギーと櫓を漕ぐ音が、河の方から聞こえて来た。
怪しの家怪しの人々
クルリと娘は拝殿へ向いた。ポンポンと二つ柏手を打った。それからしとやかに褄を取った。と、境内を出て行った。
社の蔭に身を隠し、様子を見ていた弓之助は、胆を潰さざるを、得なかった。
「素晴らしい女もあるものだ。どういう素性の女だろう? ……待てよ、島田に大振り袖! ……ううむ、何んだか思いあたるなあ。一番後を尾行て見よう」
数間を隔てて後を追った。浅草河岸を花川戸の方へ、引っ返さざるを得なかった。女はズンズン歩いて行った。月の光を避けるように、家の軒下を伝って歩いた。遠くで犬が吠えていた。人の子一人通らなかった。隅田川から仄白い物が、一団ムラムラと飛び上がった。が、すぐ水面へ消えてしまった。それは鴎の群れらしかった。女は急に立ち止まった。そこに一軒の屋敷があった。グルリと黒塀が取りまいていた。一本の八重桜の老木が、門の内側から塀越しに、往来の方へ差し出ていた。満開の花は綿のように白く団々と塊まっていた。女は前後を見廻した。つと弓之助は家蔭に隠れた。