Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.006 caratteri · 25 schermate
一
一
「親分」
「なんだ、八。たいそうな意気込みじゃないか、喧嘩でもして来たのか」
銭形平次は気のない顔を、八五郎の方に振り向けました。
「喧嘩じゃありませんがね、癪にさわって癪にさわって――」
「癪なんてものは、紙入に入れてよ、内懐にしまい込んでおくもんだよ。お前みたいに鼻の先へブラ下げて歩くから、余計なものにさわるじゃないか」
「へッ、まるで心学の講釈だ。親分も年を取ったぜ」
八五郎はよっぽど虫の居どころが悪かったものか、珍しく親分の平次に突っかかって行きます。
「ハッ、ハッ、ハッ、八五郎にきめ付けられるようじゃ、全く年を取ったかも知れないよ。ところで何がいったい癪にさわるんだ」
平次は無造作に笑い飛ばして、縁側に後ろ手を突いたまま、空の碧さに見入るのでした。七夕も近く天気が定まって、毎日毎日クラクラするようなお天気続きです。
「だって、口惜しいじゃありませんか。三輪の万七親分が、先刻昌平橋であっしの顔を見ると、いきなり、『おや八兄哥、この辺にブラブラしているようじゃ相変らず銭形のところに居候かい。俺のところの清吉なんか、八兄哥より二つ三つ若いはずだが、この間から入谷に世帯を持って、押しも押されもせぬ一本立ちの御用聞だぜ。