Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
男君の頬には涙が流れた。
「私はもう何も云いますまい、けれどどうぞこれだけは返事をして下さい。貴女の私にこんなにつれなくするのは御自分の心からなの、それとも人に教えられて、どうぞ教えて下さい」
女君はだまって居る。
「何故返事して下さらない、貴女の心から、それとも」
女君の唇はまだ動かない。
「貴女の心から、それとも教えられて」
若君の心はふるえにふるえおののきにおののいて居る。
「心から」
低いながらもハッキリした声は人形の様な女君の口からもれた。男君の顔の筋肉は一時は非常にきんちょうしそして又ゆるんだ、と同時に、
「貴女の心から心から、貴女の、おお貴女の心から、どうぞどうぞ貴女のその口から死ねと云って下さい、死ねと……云って下さい。私のこの真心はあなたの心の中に皆悪い形に変ってうつって居た、もう二度と貴女に会いますまい、けれ共死んでも貴女を忘れませんよ、死んでも忘れませんよ、それだけは覚えて居て下さい。おお、氷の様な美しさの方、忘られない方、紫の君」
光君のかおは死んだ様に青ざめて息ははずみ声はうわずってあらぬかたを見つめ、もえる様な言葉はふるえる唇からもれる。