Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
だまって毛を一つゆるがせなかった女君はソーと立ち上った。一足一足段々遠くなるけれ共、若君はまだよそを見つめて居る。女君の姿はも少しで物かげにかくれようとしたその時急に夢からさめた様に、しなやかにうなだれて行く女君の後姿を見て居たが両手でしっかり胸を抱いて、
「おお、あの姿――」
つっぷしてかたまった様になった男君の姿は、淋しい潮なりと夕暮のつめたい色につつまれながらいつまでもそこを動かなかった。
(九)
その後一日二日と立つにつれて光君の頬のやつれは目立って来た。前の様に苦情も云わず悲しいことも云わないでだまったままでだんだん衰えて行く若君の様子を心配しないものとては家の中に庭の立木位のものであった。
「どう遊ばしたのでしょう又御悪いのか知ら」
「よく伺ってお祈りをしてもらうかお薬を差し上げるかしなくては大変な事になるかも知れませんヨ」
などと云う不安心な言葉はよるとさわると女達の口からもれた、乳母は日に何度となく、
「どうぞおっしゃって下さいませ、私の命にかえてもと思って居る君様がこんなでいらっしゃっては――少しは私の苦労や悲しみをお察し下さいませ」