Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にしきぎ

錦木

宮本 百合子

Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate

Aozora Bunko

「つれない人、そんなにしずと、マアしずかにして居て、私はこんなに泣いて居るのに」

なおぎゅっとにぎりながら急に淋しいかおになって、

「私の命は段々と花のしもに合うようにネー貴方も一緒に行って下さる? 美しい国に……、青い波につつまれて……やわらかい若草がもえたって小川の源の杜に赤い鳥が――アアアア悲しい! 何故、アア二人きりで、ネエ」

紅は――若い紅は、あこがれの多いような光君の言葉をものぐるおしい人の言葉とは思えなかった。きをかねるように乳母は、と見るとねに行ったのか影はない、頬をポッと赤くしながら絵の中の人になったようにそこにそうっと座った。ほのぐらい中に二つの白いやさしいかおがういたようにならんで見えて居る。紅はこころの中によし光君はなおったあとに忘られることで有っても一寸でもこの時間の永いことがのぞまれた。

「どうぞこっちを向いてね。せめてやさしい声だけでも、オヤ、アラ、笑ってる、忘れてくれる悲しいことを皆んな――世の中、世の中、何故! 妙なものだ」

紅の手は光君の手の中に小さく、柔らかくふるえて居る。

「若さま、御存じでございますか、私を? 誰だか――」