Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
小さい女らしい声できいた。
「誰だってきくの、私が知らないと思って居るの? 私は知って居るとも、美くしくて私につらくあたる人、思わせぶりな罪な人って云うことを」
「違います、私は、私は、貴方の御召つかいでございますの」
「ホラきれいじゃあない、この着物は、この模様、何だと思う――アアいやだいやだ、どこに行ったらたのしいところがあるの――美くしいほんとうに私は死ぬほど思って居るのにこの人は」
片手で人形をゆすりながらいたいほど紅の手を引く、かおがぶつかるほど近よせて、
「オヤ、アラ、お前はお前は目が三つも有って、アアきっと彼の人を呪って居るんじゃないかしら、そうじゃあない? まあいい、美くしい可愛い、私の死んだ時にネエ、雨が降って花が散って、人は笑ってましょう」
何だか正気のようだと紅は思ってそっとそのかおをのぞいた。目はいつものように上ずって居る、かがやきもなく、只あやしくくもって居る、口元にはさみしいほほ笑みとかなしげなといきがもれる、手はふるえて居る。女は自分の事を云われて居るのかと思えばそうでもなし、そうでないと思えばいつの間にか自分のことを云われて居る、つきとばされたりなでられたりして暮して居るこのごろを、死んでしまいたいと思うほどつらく情なく、又はなれにくいほどのしゅう着をもって居た。