Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かぎ

鍵

谷崎 潤一郎

Leggi 鍵 (かぎ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.182 caratteri · 200 schermate

Aozora Bunko

といったような顔をしている。「日曜は朝早く行かないと席がありませんからね」と木村さんは云う。「己は一日家にいるよ。構わないから行って来なさい、『赤と黒』は見たいと云っていたじゃないか」と夫が傍からしきりにすすめる。夫のすすめる理由は分るが、こういう場合のことも考えておいたのであるから、三人で出かけることにした。十時半に入場し、午後一時過ぎ退場。昼の食事に寄るように云ったけれども二人とも宿へ帰った。夫は一日家にいると云ったくせに、私が戻ると入れ違いに三時頃から夕方まで散歩に出かけて帰らなかった。私は夫が留守になると早速日記帳を取り出してみた。セロファンテープは大体元の位置に貼ってあった。表紙も一見擦り切れた痕がなかった。が、拡大鏡をあてて見ると、微かに二三箇所疵のあること(よほど注意深く剥がしたとみえる)が蔽い隠すべくもなかった。私は二段構えをして、テープの外に、内部にも何枚目ということを数えて小楊枝を挟んでおいたが、それも前と違った場所になっていた。今は夫がこの日記帳を盗み読みしたことは疑いない。すると私は、今後日記を附けることを継続すべきであろうか中止すべきであろうか。