Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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に、さんば――じゅうに、さんば

鏡花短篇集

泉 鏡花

Leggi 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.305 caratteri · 66 schermate

Aozora Bunko

月は山の端を放れて、半腹は暗いが、真珠を頂いた峰は水が澄んだか明るいので、山は、と聞くと、医王山だと言いました。

途端にくゎいと狐が鳴いたから、娘は緊乎と私を抱く。その胸に額を当てて、私は我知らず、わっと泣いた。

怖くはないよ、否怖いのではないと言って、母親の病気の次第。

こういう澄み渡った月に眺めて、その色の赤く輝く花を採って帰りたいと、始てこの人ならばと思って、打明けて言うと、暫く黙って瞳を据えて、私の顔を見ていたが、月夜に色の真紅な花――きっと探しましょうと言って、――可し、可し、女の念で、と後を言い足したですね。

翌晩、夜更けて私を起しますから、素よりこっちも目を開けて待った処、直ぐに支度をして、その時、帯をきりりと〆めた、引掛に、先刻言いましたね、刃を手拭でくるくると巻いた鎌一挺。

それから昨夜の、その月の射す窓から密と出て、瓦屋根へ下りると、夕顔の葉の搦んだ中へ、梯子が隠して掛けてあった。伝って庭へ出て、裏木戸の鍵をがらりと開けて出ると、有明月の山の裾。

医王山は手に取るように見えたけれど、これは秘密の山の搦手で、其処から上る道はないですから、戸室口へ廻って、攀じ上ったものと見えます。