Classici giapponesi con furigana
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かいかのおっと
開化の良人
Leggi 開化の良人 (かいかのおっと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.438 caratteri · 32 schermate
それほど私は賑な下座の囃しと桜の釣枝との世界にいながら、心は全然そう云うものと没交渉な、忌わしい色彩を帯びた想像に苦しめられていたのです。ですから中幕がすむと間もなく、あの二人の女連れが向うの桟敷にいなくなった時、私は実際肩が抜けたようなほっとした心もちを味わいました。勿論女の方はいなくなっても、縞の背広はやはり隣の桝で、しっきりなく巻煙草をふかしながら、時々私の方へ眼をやっていましたが、三の巴の二つがなくなった今になっては、前ほど私もその浅黒い顔が、気にならないようになっていたのです。
「と云うと私がひどく邪推深いように聞えますが、これはその若い男の浅黒い顔だちが、妙に私の反感を買ったからで、どうも私とその男との間には、――あるいは私たちとその男との間には、始めからある敵意が纏綿しているような気がしたのです。ですからその後一月とたたない中に、あの大川へ臨んだ三浦の書斎で、彼自身その男を私に紹介してくれた時には、まるで謎でもかけられたような、当惑に近い感情を味わずにはいられませんでした。何でも三浦の話によると、これは彼の細君の従弟だそうで、当時××紡績会社でも歳の割には重用されている、敏腕の社員だと云う事です。