Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
いんえいらいさん
陰翳礼讃
谷崎 潤一郎
Leggi 陰翳礼讃 (いんえいらいさん) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.020 caratteri · 61 schermate
古えの工藝家がそれらの器に漆を塗り、蒔絵を画く時は、必ずそう云う暗い部屋を頭に置き、乏しい光りの中における効果を狙ったのに違いなく、金色を贅沢に使ったりしたのも、それが闇に浮かび出る工合や、燈火を反射する加減を考慮したものと察せられる。つまり金蒔絵は明るい所で一度にぱっとその全体を見るものではなく、暗い所でいろ/\の部分がとき/″\少しずつ底光りするのを見るように出来ているのであって、豪華絢爛な模様の大半を闇に隠してしまっているのが、云い知れぬ餘情を催すのである。そして、あのピカピカ光る肌のつやも、暗い所に置いてみると、それがともし火の穂のゆらめきを映し、静かな部屋にもおり/\風のおとずれのあることを教えて、そゞろに人を瞑想に誘い込む。もしあの陰鬱な室内に漆器と云うものがなかったなら、蝋燭や燈明の醸し出す怪しい光りの夢の世界が、その灯のはためきが打っている夜の脈搏が、どんなに魅力を減殺されることであろう。まことにそれは、畳の上に幾すじもの小川が流れ、池水が湛えられている如く、一つの灯影を此処彼処に捉えて、細く、かそけく、ちら/\と伝えながら、夜そのものに蒔絵をしたような綾を織り出す。