Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

Leggi 陽炎座 (かげろうざ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.381 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

ひとり紳士は気の無い顔して、反身ながらぐったりと凭掛った、杖の柄を手袋の尖で突いたものなり。

饂飩屋は、行燈に向直ると、誰も居ないのに、一人で、へたへたと挨拶する。

「光栄なさいまし。……直ぐと暖めて差上げます。今、もし、飛んだお前さん、馬鹿な目に逢いましてね、火も台なしでござります。へい、辻の橋の玄徳稲荷様は、御身分柄、こんな悪戯はなさりません。狸か獺でござりましょう。迷児の迷児の、――と鉦を敲いて来やがって饂飩を八杯攫らいました……お前さん。」

と滑稽た眉毛を、寄せたり、離したり、目をくしゃくしゃと饒舌ったが、

「や、一言も、お返事なしだね、黙然坊様。鼻だの、口だの、ぴこぴこ動いてばかり。……あれ、誰か客人だと思ったら――私の顔だ――道理で、兄弟分だと頼母しかったに……宙に流れる川はなし――七夕様でもないものが、銀河には映るまい。星も隠れた、真暗、」

と仰向けに、空を視る、と仕掛けがあったか、頭の上のその板塀越、幕の内か潜らして、両方を竹で張った、真黒な布の一張、筵の上へ、ふわりと投げて颯と拡げた。

と見て、知りつつ松崎は、俄然として雲が湧いたか、とぎょっとした、――電車はあっても――本郷から遠路を掛けた当日。