Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

Leggi 陽炎座 (かげろうざ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.381 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

た。

けれども、欄干に乗出して、も一つ橋越しに透かして見ると、門は寝静ったように鎖してあった。

いつの間にか、トチトチトン、のんきらしい響に乗って、駅と書いた本所停車場の建札も、駅と読んで、白日、菜の花を視むる心地。真赤な達磨が逆斛斗を打った、忙がしい世の麺麭屋の看板さえ、遠い鎮守の鳥居めく、田圃道でも通る思いで、江東橋の停留所に着く。

空いた電車が五台ばかり、燕が行抜けそうにがらんとしていた。

乗るわ、降りるわ、混合う人数の崩るるごとき火水の戦場往来の兵には、余り透いて、相撲最中の回向院が野原にでもなったような電車の体に、いささか拍子抜けの形で、お望み次第のどれにしようと、大分歩行き廻った草臥も交って、松崎はトボンと立つ。

例の音は地の底から、草の蒸さるるごとく、色に出で萌えて留まらぬ。

「狸囃子と云うんだよ、昔から本所の名物さ。」

「あら、嘘ばっかり。」

ちょうどそこに、美しい女と、その若紳士が居合わせて、こう言を交わしたのを松崎は聞取った。

さては空音ではないらしい。

若紳士が言ったのは、例の、おいてけ堀、片葉の蘆、足洗い屋敷、埋蔵の溝、小豆婆、送り提燈とともに、土地の七不思議に数えられた、幻の音曲である。