Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.786 caratteri · 278 schermate
持てるようになってからも持たなかった。死ぬまで、離さなかったものがただ一つあった。剣である。その道である。
剣をとおして、彼は人間の凡愚と菩提を見、人間という煩悩のかたまりが、その生きるための闘争本能が、どう処理してゆけるものか、死ぬまで苦労してみた人だ。乱麻殺伐な時風に、人間を斬る具とのみされていた剣を、同時に、仏光ともなし、愛のつるぎともして、人生の修羅なるものを、人間苦の一つの好争性を、しみじみ哲学してみた人である。
剣を、一ツの「道」にまで、精神的なものへ、引上げたのも彼である。応仁から戦国期へかけて、ただ殺伐にばかり歩いてきた、さむらいの道は、まちがいなくそこから踏み直したといっていい。
眸が琥珀色だった。六尺近くも背があった。生涯六十何度かの試合に勝ちとおした。一生妻も娶らなかった。晩年は髪もくしけずらず湯にもはいらなかった。――こころの垢はそそぐとも身の垢はそそぐによしなし、と猶、心をくだいていた。ずいぶん怖い人にちがいなかった。だが今日残っている彼の画は、老梅の花とも、秋霜の菊華とも、気品のたかさゆかしさ、称えようもないではないか。