Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しほんたいへいき

随筆 私本太平記

吉川 英治

Leggi 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.947 caratteri · 114 schermate

Aozora Bunko

このことは、尊氏が正成をどう観ていたか、そのさいごを、敵ながらいかに深くいたんでいたかの、かなり確実性の高い一史料といってよい。

もし尊氏にかほどな同情がないものだったら、正成の死後、河内の領土や遺子正行が、安穏としていられたはずはなかったろう。尊氏のこのあわれみは、平清盛が、敵義朝の子、十三歳の頼朝を、源氏のふるさとと知りながら、わざわざ東国の伊豆へ流してやったあの寛大さとよく似ている。

正成、正季らと共に自刃した人々の数も、太平記には、宗徒の一族十六人、相随う兵五十余人となっているが、前記の朝舜の手紙では、一族二十八人とだけで、ほかは見えていない。そして一部分の兵は、布引ノ滝方面へ落ちのびている。また今日残っている広厳寺の位牌とか、その広厳寺で、正成が死の前日に、明極和尚から大悟の一禅をさずかったなどという話は、おおかた江戸時代の作為で参考にするまでのことはない。

とにかく、湊川の一戦は、結果的に、正成の一人舞台といえる観であった。本来は、全官軍の代表義貞と尊氏との対決であるはずのものが、一部隊長にすぎない正成が、ひとり尊氏の陸海軍とその抱く逆意にたいして、徹底的なこたえをなしたことになる。