Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かりさかごえ

雁坂越

幸田 露伴

Leggi 雁坂越 (かりさかごえ) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.263 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

お浪はこの自己を恃む心のみ強い言を聞いて、驚いて目を瞠って、

「一人でって、どう一人でもって?」

と問い返したが返辞が無かったので、すぐとまた、

「じゃあ誰の世話にもならないでというんだネ。」

と質すと、源三は術無そうに、かつは憐愍と宥恕とを乞うような面をして微に点頭た。源三の腹の中は秘しきれなくなって、ここに至ってその継子根性の本相を現してしまった。しかし腹の底にはこういう僻みを持っていても、人の好意に負くことは甚く心苦しく思っているのだ。これはこの源三が優しい性質の一角と云おうか、いやこれがこの源三の本来の美しい性質で、いかなる人をも頼むまいというようなのはかえって源三が性質の中のある一角が、境遇のために激せられて他の部よりも比較的に発展したものであろうか。

お浪は今明らかに源三の本心を読んで取ったので、これほどに思っている自分親子をも胸の奥の奥では袖にしている源三のその心強さが怨めしくもあり、また自分が源三に隔てがましく思われているのが悲しくもありするところから、悲痛の色を眉目の間に浮めて、

「じゃあ吾家の母様の世話にもなるまいというつもりかエ。まあ怖しい心持におなりだネエ、そんなに強くならないでもよさそうなものを。