Classici giapponesi con furigana
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ざっきちょうより(に)
雑記帳より(Ⅱ)
寺田 寅彦
Leggi 雑記帳より(Ⅱ) (ざっきちょうより(に)) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4473 caratteri · 9 schermate
ただ全く偶然な蛍火の明滅としか思われないであろう。しかし、この機構の背後には色々の人間がさまざまの用談をし取引を進行させており、あらゆる思惟と感情の流れが電流の複雑な交錯となってこの交換台に集散しているのである。
現象を記載するだけが科学の仕事だというスローガンがしばしば勘違いに解釈されて、現象の背後に伏在する機構への探究を阻止しようとすることがあるような気がする。しかし、気をつけないと、自働交換台の豆電燈の瞬きを手帳に記録するだけで満足するようなことになる恐れがないとは云われない。
七
ドンキホーテの映画を見た。彼の誇大妄想狂の原因は彼の蒐集した書物にあるから、これを焼き捨てなければいけないというので大勢の役人達が大きな書物をかかえて搬び出す場面がある。この画面が進行していたとき、自分の前の座席にいた男の子が突然大きな声で「アー、大掃除だ」と云った。つい近頃五月の大掃除があったのを思い出したのであろう。あちらこちらの暗がりで笑声が聞えた。
子供は子供の見方をするように人々はまた思い思いの見方をしているであろう。自分はこの映画を見ているうちに、何だか自分のことを諷刺されるような気のするところがあった。