Classici giapponesi con furigana
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ざっきちょうより(に)
雑記帳より(Ⅱ)
寺田 寅彦
Leggi 雑記帳より(Ⅱ) (ざっきちょうより(に)) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4473 caratteri · 9 schermate
自分の能力を計らないで六かしい学問に志していっぱしの騎士になったつもりで武者修行に出かけて、そうしてつまらない問題ととっ組み合って怪物のつもりでただの羊を仕とめてみたり、風車に突きかかって空中に釣り上げられるような目に会ったことはなかったかどうか、そんなことを考えない訳にはゆかなかった。
しかしまたこんなことも考えた。この映画に現われて来る登場人物のうちで誰が一番幸福な人間かと思って見ると、天晴れ衆人の嘲笑と愚弄の的になりながら死ぬまで騎士の夢をすてなかったドンキホーテと、その夢を信じて案山子の殿様に忠誠を捧げ尽すことの出来たサンチョと、この二人にまさるものはないような気もするのであった。
燃え尽した書物がフィルムの逆転によって焼灰からフェニックスのごとく甦って来る。巻き縮んだ黒焦の紙が一枚一枚するすると伸びて焼けない前のページに変る。その中からシャリアピンの悲しくも美しいバスのメロディーが溢れ出るのであった。
歴史に名を止めたような、えらい武人や学者のどれだけのパーセントが一種のドンキホーテでなかったか。現在眼前に栄えているえらい人達のうちにも、もしかしたら立派なドンキホーテが一人や二人はいるのではないか。