Classici giapponesi con furigana
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おしゃく
雛妓
岡本 かの子
Leggi 雛妓 (おしゃく) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.482 caratteri · 53 schermate
何といっても七十二という高齢は、訣れを諦め易くしたし、それと、生前、わたくしが多少なりとも世間に現している歌の業績を父は無意識にもせよ家霊の表現の一つに数えて、わたくしは知らなかったにもせよ日頃慰んでいて呉れたということは、いよいよわたくしをして気持を諦め易くした。勿論わたくしに取ってはそういう性質の仕事の歌ではなかったのだけれども。それでも、まあ無いよりはいい。
で、その方は気がたいへん軽くなった。それ故にこそ百ヶ日が済むと、嘗て父の通夜過ぎの晩に不忍池の中之島の蓮中庵で、お雛妓かの子に番えた言葉を思い出し、わたくしの方から逸作を誘い出すようにして、かの女を聘げてやりに行った。「そんな約束にまで、お前の馬鹿正直を出すもんじゃない」と逸作は一応はわたくしをとめてみたが、わたくしが「そればかりでもなさそうなのよ」と言うと、怪訝な顔をして「そうか」と言ったきり、一しょについて行って呉れた。息子の一郎は「どうも不良マダムになったね」と言いながら、わたくしの芸術家にしては窮屈過ぎるためにどのくらい生きるに不如意であるかわからぬ性質の一部が、こんなことで捌けでもするように、好感の眼で見送って呉れた。