Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あめのやまぶき

雨の山吹

山本 周五郎

Leggi 雨の山吹 (あめのやまぶき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.433 caratteri · 33 schermate

Aozora Bunko

すると給仕をしていた汝生が、いきなり激しい調子でそれに応じた。

――三浦のお兄さまの仰しゃるとおりですわ、あんな僅かな不始末にうろうろして、いっそ切腹でもなさればいいのに、幼い子を伴れて逃げだすなんて、いったい逃げた先でどうするつもりでしょう、しまいには乞食にでもなる気でしょうか。

――ひどく怒ったもんだね、もういいよ。

又三郎が制止した。汝生は眼にいっぱい涙を溜め、唇をふるわせて今にも泣きだしそうにみえた。

――喜兵衛のことより自分のことを考えるがいい、ぜんたいいつまで嫁にゆかないつもりなんだ、もう二十一じゃないか。

そんなふうに話をそらしていった。

あとから思うと、汝生の怒りは喜兵衛を責めるのでなく、深い哀れみのためであったと想像されたのである。そのとき又三郎が結婚のことなど云いだしたのは、三浦のほうの知人から、――西牧陽之助へどうか、というはなしがあり、汝生が相変らずしぶっていると聞いたからであった。

いったい汝生は人に好かれるたちで、十五六のころからよく縁談があった。縹緻は十人なみだが、ふっくりとまる顔で愛嬌があり、明るくて陰のない性分が好かれるらしい。