Classici giapponesi con furigana
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あまよぞくし
雨夜続志
田中 貢太郎
Leggi 雨夜続志 (あまよぞくし) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5181 caratteri · 11 schermate
「でも、厭ね、あんな男は、いくら金があったって、学問があったって、私なんかは厭だね」
「甚く悪く云うな、では、ふられたね」
伊沢もその仲間入りをして近比にない壮わかしい気もちになって笑っていたが、何時の間にか女をそっちのけにして昔の追懐へその話を持って往った。
「あの時分には、君は一升ぐらい飲んだって平気だったが、今でもいくだろうね」
山田は伊沢に盃をさしながら云った。
「好きは好きだが、毎晩、一合のおしきせがやっとだよ、もう弱ったね、年老ったからなあ」
「僕も何んかの場合には、三合ぐらいなら飲むこともあるが、少し過ぎるとすぐ二日酔をやってね、いけないのだ、やはり年だね」
「そうだ、年は老りたくないね、壮いうちに早く死ぬる方が、人にも惜まれて好いな、今日の追悼会の人達も生きておる時は、つまらん奴が多かったが、死んでしまや、国士だ、落伍者になって、煤ぶって死ぬるのはいけないね」
「そうさ、玉砕さ、人間は玉砕に限るよ」
雨の音が聞えて来た。
「雨だね、落ついて好いだろう、ゆっくりやって、今晩は久しぶりに、いっしょに寝よう、すぐ近くに寝る処があるからね」
山田は伊沢に酒を酌ぐつもりで銚子を持ってみると冷たくなっていた。