Classici giapponesi con furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Leggi 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.414 caratteri · 289 schermate
しかしそんなものはこの歳月唯「お軽勘平」のような狂言戯作の筋立にのみ必要なものとしていたのではないか。それが今どうして突然意外にも不思議にも心を騒がし始めたのであろう。思返えせば二十歳の頃ふと芝居帰の或夜野暮な屋敷の大小の重きを覚え、御奉公の束縛なき下民の気楽を羨みいつとしもなく身をその群に投じてここに早くも幾十年。今日しも遠山の屋敷の玄関に音ずれるその日までは夢にさえ見ることを忘れていた武家の住居――寒気なほどにも質素に悲しきまでも淋しい中にいうにいわれぬ森厳な気を漲らした玄関先から座敷の有様。またその道すがら横手遥に幸橋の見附を眺めやった御郭外の偉大なる夕暮の光景が、突然の珍らしさにふと少年時代の良心の残骸を呼覚したというより外はあるまい。
しかし種彦は今更にどうとも仕様のないこの煩悶をば強いても狂歌や川柳のように茶化してしまおうと思いながら、歩いて行く町のところどころに床几を出した麦湯の姐さんたちの厭らしい風俗。それに戯れる若者の様子を目撃しては、以前のようにこれも彼の式亭三馬が筆のすさみのそのままだと笑ってばかりはいられないような気になるのであった。