Classici giapponesi con furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Leggi 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.414 caratteri · 289 schermate
わたしの方も昨夜は実に困ったことがあったのよ。滑稽な事なのよ。だけどあんな可笑しなことは、しようたって出来ないわ。」
「何だ。独りで笑っていたって、わからない。」
「だって、考え出すと、あんまり滑稽で、話ができないわ。お客をまちがえてしまったのさ。わたしも随分そそッかしいと思って自分ながら呆れてしまったわ。」
「いやだわ。千代子さん。」
「それが時のはずみだから仕様がないのよ。昨日芳沢旅館の帰道だわ。新橋のガードの下であるお客様に逢ったのよ。御飯にさそわれて、銀座の裏通のおでん屋へ行ったから、帰りにデパートへ連込んで何か買ってもらおうと思ってさ。二人でぶらぶら銀座を歩いたのよ。丁度人の出さかる時分だから松屋の前なんぞは押されたり、突当ったりされて歩けないくらいだったわ。立止って店飾の人形を見ていると、酔ッ払った学生がわざと突当りそうにしたんで、わたしは少し側へ寄る。その中に男の方が二歩三歩先になって、夜店の前に立留ったから、わたしも立留ったのよ。人が大勢たかっていて、何も見えないから、だんだん押分けて見ていると、後からいやに押す人があるから、何の気なしに振返って見ると、わたしのお客は人を置去りにして向の方へ歩いて行くんじゃないの。