Classici giapponesi con furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Leggi 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.414 caratteri · 289 schermate
「おじさん、いくつになるんだ。」
「うむ。あれァたしか。明治三十七年……ていうとむかしも昔、大むかしだ。」
一体こういう人たちには平素静に過去を思返して見るような機会も、また習慣もないのが当前なので、鮫屋の爺さんは人にきかれても即座には年数を数え戻すことができないらしい。煙草を一吹して、
「あの時分にゃおれも元気だったぜ。」
掌で顔中の油汗を撫でたなり黙り込んでしまった。兵卒に扮した役者はその側に寝ころんでいる踊子の方へ寄りかかりながら、
「おじさん、戦争へ行って、勲章、貰わなかったのか。」
「貰ったとも。貰わねえでどうなるものか。嘘じゃねえ。見せてやろうか。」
得意な力づよい調子が胸の底から押出された。
「持って来て見せてやろう。親方の家へ置いてある……。」
「おじさん。」と兵卒に寄掛かられた踊子は重そうにその男を押し退け、「お見せよ。ねえ。おじさん。新ちゃんの衣裳を着て、勲章下げて御覧よ。」
「ふふふふ。おもしれエ。」
爺さんは妙な声を出して笑ったが、急に立上り、空丼を片づけた岡持の取手をつかんで、そのまま出て行った。
わたくしは踊子の中の誰彼にせがまれて、いつものように写真を取りはじめる。