Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あめ

雨

織田 作之助

Leggi 雨 (あめ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.421 caratteri · 60 schermate

Aozora Bunko

あっさりと物ごとを考えられないのが彼の欠点であった。たった今見たことがもう彼には一生涯忘れ得ぬ記憶になってしまったのである。左様な事柄には破戒僧の敬虔さを以て臨むのが賢明であるのに。

如何なる心の矛盾からか豹一はその後、巴里楼にしげ/\と通った。随分苦面もして通うのであるから、勿論酔興ではなかったが、しかし何故通うのか自分の心を覗いて見ても分らなかった。惚れているという単純な言葉が仲々思いつかなかった。思いついても、何故惚れてるのかと突きつめて考えてみなくては気に済まぬ性質であった。嫌悪しているものに逆に心を動かされるという自虐のからくりには気がつかなかった。ある朝、妓が彼の為に林檎をむいている姿を見て、胸が温った。無器用な彼は林檎一つむけず、そんな妓の姿を見て簡単に夫婦約束をなし、年期明けたら夫婦になろうと誓言をとりかわした。妓は彼女が最初客をとった時の事を何度もくどく繰り返してきく時の彼の恐しいほど蒼ざめた表情に本能的な憎悪を覚えていたが、しば/\はにかんでぽうっと赧くなる時の彼に子供をみて、好ましく思っていた。彼女は、彼を、彼女の表現に従えば、どんな情の薄い女でも一度知ったら決っして想い切れないという男に仕上げてしまった。