Classici giapponesi con furigana
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ゆきたたき
雪たたき
幸田 露伴
Leggi 雪たたき (ゆきたたき) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.132 caratteri · 56 schermate
そして何も彼もそなたの恐ろしい落度から起ったというのじゃナ。身の罪に責められて、そなたは生命を取られてもと云い居るのじゃナ。」
「ハイ、あの有難いお方様のために、御役に立つことならば只今でも……」
真紅になった面をあげて、キラリと光った眼に一生懸命の力を現わして老主人の顔を一寸見たが、忽ちにして崩折れ伏した。髪は領元からなだれて、末は乱れた。まったく、今首を取るぞと云われても後へは退かぬ態に見えた。
心の誠というものは神力のあるものである。此の女の心の誠は老主人の心に響いたのであろう。主人の面には甘さも苦さも無くなって、ただ正しい確乎とした真面目さばかりになった。それは利害などを離れて、ただ正しい解釈と判断とを求めようとする真剣さの威光の籠り満ちているものであった。
「して其男が聟殿に何事を申そうという心配があるのか。何事。何事を……」
的の真ただ中に箭鏃のさきは触れた。女は何とすることも出来無かった。其儘に死にでもするように、息を詰めるより外はなかった。
「…………」
「…………」
恐るべき沈黙はしばし続いた。そして其沈黙はホンノしばしであったに関らず、三阿僧祇劫の長さでもあるようだった。