Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆきのやどり

雪の宿り

神西 清

Leggi 雪の宿り (ゆきのやどり) di 神西 清 (じんざいきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.995 caratteri · 51 schermate

Aozora Bunko

と激しい息使いで吐きだすようにお話しかけになりました。例になく上ずったお声音に、わたくしは初めのうちわが耳を疑ったほどでございます。わたくしが何と申上げる言葉もないままでおりますと、松王様は尚もつづけて、お口疾にあとからあとから溢れるように、さながら憑物のついた人のようにお話しかけになります。それが後では、もうわたくしなどのいることなどてんでお忘れの模様で、まるで吾とわが心に高声で言い聴かすといった御様子でございました。わたくしは何か不気味な胸さわぎを覚えながら、じっと耳を澄まして伺っておりました。いろいろと難しい言葉も出て参りますので一々はっきりとは覚えませんけれど、大よそはまず次のようなお話なのでございました。

「この焼野原を眺めて、そなたはさぞや感無量であろうな。俺も感無量と言いたいところだが、実を云えば頭の中は空っぽうになりおった。今日は珍しく京のどこにも兵火の見えぬのが却って物足らぬぐらいだ。俺は事に餓えておる。事がなくては一日半時も生きてはゆけぬと思うほどだ。それを紛らわそうと、そなたはよもや知るまいが、俺は夜闇にまぎれて毘沙門谷のあたりを両三度も徘徊してみたぞ。