Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆきやなぎ

雪柳

泉 鏡花

Leggi 雪柳 (ゆきやなぎ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.054 caratteri · 90 schermate

Aozora Bunko

「はいい。」

返事は下でお極りの、それは小女か女中かで、銚子、盃、添えものは、襖が開いて、姪――間淵の娘の手で、もう卓子台に並んだのでありました。

さて、お盃。なかなか飲める。……柳町で悩まされた孑孑が酔いそうなものではなかった。

「お孝、お孝。」

と若いかみさんの、姪を呼んで、

「重ねて、それ、お酌をせんかの。……何をぼんやり……あんたの顔を見とるがや。……電燈もつけて。」

その燈に、お孝が、……若いかみさんの飲まない顔が、何故か、耳元まで紅かったのです。

「これがほんの水入らず、にい。そういえば、お対手は、姪、尼でもや、酒だけは黒松の、それも生一本やで、何と、この上の町、ここでの名所、一本松というてもいいやろ。」

と尼刀自が洒落れた。が、この洒落は悪くない。

「ああ、そうじゃ……あんたの故郷にもおなじ名の名所があったに――一本松――

……忘れもせんぞに、私が十三か四の頃や、洞斎兄さえ、まだ、尾山(金沢を云う。近国近郷の称呼。)の、あんたの家へ寄宿せぬさき、親どもに手を曳かれて、お城下の本願寺、お末寺へ参詣した時、橋の上からも、宿の二階からも、いい姿に、一目に見はらされて今でも忘れはせんのじゃが、その昔、あすこに心中があったそうやに。