Classici giapponesi con furigana
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くものわくころ
雲のわくころ
小川 未明
Leggi 雲のわくころ (くものわくころ) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 5198 caratteri · 11 schermate
すずしい風が、ひたひたと、たえず流れの上を吹いていたのに、どこからか、においをかぎつけて飛んできたものか、一ぴきのはえが、そばの石にとまって、食べ物のありかをさがしていました。
また、他のほうからは、まったく見なれない黒色のくもが、おそらく、このあたりにすむのであろうが、どうして、水をわたったものか、冒険をおかして、やはり食べ物をねらっているのでした。勇吉は、虫たちの敏感なのにおどろき、かつ、その真剣なのを、きみ悪くさえ感じました。これを気づかずにいた、おじさんに告げると、
「はあ、めったに、こんなところで、ごちそうのにおいなんか、あることがないから、そりゃ、虫どもは、さがすのに、血まなこだろうよ。虫だって、人間と同じことで、生きることにかわりがないし、容易でないのだ。」と、おじさんは、はしをうごかしながらいいました。
そう聞くと、かれは、このとき、くもや、はえを、追いはらいはしたけれど、たたきつけて、殺す気には、なれなかったのです。
それから、しばらく、勇吉は一人で、石から石へわたったり、また水ぎわを、あちらへいったり、こちらを散歩したりしました。