Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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でんしゃていりゅうじょう

電車停留場

豊島 与志雄

Leggi 電車停留場 (でんしゃていりゅうじょう) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.082 caratteri · 31 schermate

Aozora Bunko

と巡査は促した。

それを高倉玄蔵は耳にも入れなかった。地面に眸を据えたまま、暫く考え込んだ。とふいによい考えが浮んだ。相手の男を同行しさえすれば、自分の名分は立つ訳だ。

「此奴も一緒に引張って行って貰おう。」と彼は云った。

「無論だ。」と巡査は応じた。

そして二人は、其処に起き上ってつっ立ってる筈の野口昌作の方へ向き返った。所が其処には誰もいなかった。見廻しても姿さえ見えなかった。二人は茫然とした。

「逃げちまったよ。」と群集の中から誰かが云った。続いて笑い声もした。

その嘲るような調子に、殊にぐいと胸を突かれたのは、巡査の方だった。

福坂警察署所属巡査、沼田英吉は、その日殊に心配があった。四五日前から子供が発熱して、毎日三十九度以上の高熱が続いた。医者は何の病気とも断定しかねた。そしていろんな徴候からして、時節柄チブスの疑いがあった。それを聞いた時、沼田英吉はひどく困却した。もし本当にチブスだとすれば、他の二人の子供にも感染する恐れがあるし、殊に病児の看護をしてる妻にはその恐れが多いし、そのために貧しい一家の生活が破綻するのは、眼に見るように明らかだった。