Classici giapponesi con furigana
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しもばしら
霜柱
山本 周五郎
Leggi 霜柱 (しもばしら) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.328 caratteri · 29 schermate
「私はいまでも妻をゆるしてはいません、と八郎兵衛はおれに語った」喜兵衛は云った、「娘は嫁にやりましたし、伜にも妻子ができました、貧乏だけはどうにもなりませんが、まあまあ平穏無事にくらしています、――どうしてだ、とおれは訊いてみた、殺そうと思ったほど憎み、いまでもゆるせないというのに、それでなおこんなに長いあいだ夫婦ぐらしができるのか、とね、――すると八郎兵衛は答えたよ、人間とはそういうもののようです、どんなに激しい憎みでも、憎むことだけでは生きてはゆかれない、愛情だけで生きることができないように、一つ感情だけで生きとおすことはできないようです」
石沢がなにか訊き返したように思い、喜兵衛は首を振った。
「いやおれは」と彼は云った、「そのとしよりのことが云いたいんじゃない、繁野さんがいまどんな気持でいるか、六十に手の届く年になって、勘当した放蕩息子のことをどう考えているか、ということが云いたいんだ」
石沢がまた義十郎のことでなにか云った。よく聞きとれないので、面倒くさくなり、「もういい、義十なんか知ったことか」と云い返したが、そう云う自分の声で眼がさめた。