Classici giapponesi con furigana
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あおいはなのかおり
青い花の香り
小川 未明
Leggi 青い花の香り (あおいはなのかおり) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 2116 caratteri · 5 schermate
のぶ子という、かわいらしい少女がありました。
「のぶ子や、おまえが、五つ六つのころ、かわいがってくださった、お姉さんの顔を忘れてしまったの?」と、お母さまがいわれると、のぶ子は、なんとなく悲しくなりました。
月日は、ちょうど、うす青い水の音なく流れるように、去るものです。のぶ子は、十歳になりました。そして、頭を傾けて、過ぎ去った、そのころのことを思い出そうとしましたが、うす青い霧の中に、世界が包まれているようで、そんなような姉さんがあったような、また、なかったような、不確かさで、なんとなく、悲しみが、胸の中にこみあげてくるのでした。
「そのお姉さんは、いまどうしていなさるの?」と、のぶ子は、お母さまに問いました。
「遠方へ、お嫁にいってしまわれたのよ。」と、お母さまも、その娘さんのことを思い出されたように、目を細くしていわれました。
「遠方へってどこなのですか。」と、のぶ子は黒い、大きな目をみはって、お母さまにききました。
「幾日も、幾日も、船に乗ってゆかなければならない外国なんだよ。」
こう、お母さまがいわれたときに、のぶ子は思わず、目を上げて、空の、かなたを見るようにいたしました。