Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

せいねん

青年

森 鴎外

Leggi 青年 (せいねん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.670 caratteri · 246 schermate

Aozora Bunko

こういう時に恐るべき微笑もせずに、極めて真面目に。

己は選びもせずに、ラシイヌの外の一巻を抽き出して、持て来た一巻を代りに入れて置いて、しづえと一しょに洋室を出た。

己を悩ました質の、ラシイヌの一巻は依然として己の手の中に残ったのである。そして又己を悩まさなくては済まないだろう。

奥さんの部屋へ、暇乞に覗くと、奥さんは起って送りに出た。上草履を直したしづえは、廊下の曲り角で姿の見えなくなる程距離を置いて、跡から附いて来た。

「お暇があったら箱根へいらっしゃいましね」と、静かな緩い語気で、奥さんは玄関に立っていて繰り返した。

「ええ」と云って、己は奥さんの姿に最後の一瞥を送った。

髪の毛一筋も乱れていない。着物の襟をきちんと正して立っている、しなやかな姿が、又端なく己の反感を促した。敵は己を箱根へ誘致せずには置かないかなと、己は心に思いながら右の手に持っていた帽を被って出た。

空は青く晴れて、低い処を濃い霧の立ち籠めている根岸の小道を歩きながら、己は坂井夫人の人と為りを思った。その時己の記憶の表面へ、力強く他の写象を排して浮き出して来たのは、ベルジック文壇の耆宿 Lemonnier の書いた Aude が事であった。