Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいしゅんのいきのあと

青春の息の痕

倉田 百三

Leggi 青春の息の痕 (せいしゅんのいきのあと) di 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.338 caratteri · 254 schermate

Aozora Bunko

私は今もH・Hを愛し、彼女の幸福のためにはどのようなことでもしてやる気です。しかし結婚することがどれだけ二人のために幸福かわかりません。また今そんなことをしたらお絹さんはどうしましょう。私はかわいそうです。とはいえもし今私がH・Hに会いでもしたら、どんな心になるかもわかりません。おそらくは衣の袖にすがって千行の涙を垂れて泣くでしょう。私はけっして忘れてはいないのですもの。

それやこれで私の心はちぢに乱れ、尾道にいたたまらずに、船に乗って遠くへ行って考えたいと思ってここまで参りました。雨が降って小さな汽船に揺られて、船に酔い、頭の底はしんしんと痛み、傘がないので衣は濡れ、まっくらなこの漁村に昨夜おそく着きました。

今朝も空は灰色に低く垂れて、船宿の汚ない部屋の欄干にすがって、海のどんよりした色を見ていると、淋しい淋しい気がいたします。何ともいいようのない無常を感じます。私はこの頃は西行や芭蕉などの行脚や托鉢して歩くような雲水のような心に同感します。

私は西国八十八か所を遍路して歩きたいと思いましたが止められました。天香さんは勝淳さん(一燈園の尼さん、切髪の品のいい四十歳ぐらい、天香さんと、夫婦のようにして暮らしていられます)と一緒に去年の春西国巡礼をせられました。