Classici giapponesi con furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Leggi 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.593 caratteri · 325 schermate
「毛利君、ここへ切手貼ってんか」そう言って園井が出したハガキを見ると、小さな楷書の字でぎっしり詰めて書いてあった。それがいかにも律義者めいて、よくもこんなに根気よく丁寧に書けるものだと、豹一は感心してしまった。豹一は園井がもう十年もここで働いていることや、三年に三円しか昇給しなかったことを想い出した。
園井は正午まで煙草一つ吸わず、帳簿の整理をしたり、集金郵便の予告状を書いたりして、打っ続けに働き、正午のサイレンが鳴ると、自転車に乗って近所にある自宅へ昼食をたべに行ったが、豹一が喫茶店から帰って見ると、もう物差を出して、しきりに広告欄の大組みをしていた。
そんな園井の視線を背中に感じていると、豹一はうかうか怠けるわけに行かなかった。じーんと時間の歩みが止ったような蒸暑さで、新聞をひろげて切抜記事を探していると、うつらうつらするのだった。そんな時は、いつか新聞の家庭欄などを見るともなく見ているのだが、ふと何やら園井の気配を感ずると、周章てて新聞をパラパラめくって、なんとなく鋏を取り上げたりした。ふと振り向くと、園井は物差の横ににじんだインクをせっせと吸取紙で拭っているなど、園井の勤務振りは一分の隙もなかった。