Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Leggi 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.593 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

ことにした。幾分の思いやりだった。その代りこれまでの分は利子をつけることにした。

安二郎は余りの幸福さにわれを忘れてしまったので、

「お君!」と、思わず女房の名を呼んだ。しかし、べつに改めて言うべきこともなかったので、咄嗟に考えて、用事を吩咐ることにした。

「電気座蒲団の線はずしてんか」自分で立ってはずすと、その間座蒲団の温もりから尻を離さねばならない。それが惜しいのだ。

「よろしおま」お君は立ってコードをはずした。だんだん座蒲団の温もりがさめて行った。すっかり冷たくなってしまうと、安二郎はやっと尻をあげた。途端に痔の痛みが来た。

「あ、痛、痛、あ、痛ア!」

尻を突きだしたじじむさい中腰で寝床の方へ歩いて行きながら、安二郎は、

(誰がなんちゅうても豹一から下宿代を取ってこましたるぞ)と、力んだ。(取る権利が無いとは言わせんぞ。そや。おれはあいつの親や。親ならどんな権利でもあるネやぞ)安二郎はこれまで豹一を負債者とばかり考えていたので、実は豹一が、息子であることにうっかりしていたのだった。(親やったら息子の儲を取るのは、こら当然や。あ、痛、痛! あいつはもう一人前の月給取やさかい、父親には下宿代を渡さんならん義務があるネや。