Classici giapponesi con furigana
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あおきのしゅっきょう
青木の出京
菊池 寛
Leggi 青木の出京 (あおきのしゅっきょう) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.513 caratteri · 43 schermate
と、いったばかりであった。雄吉は、青木の冷静な、ほとんど無関心な態度を、ある種の驚異をもって見た。自分の身の上に湧いてくる危難を、ものの数ともせずに、雄吉の親切などを、眼中においてない青木の態度を、雄吉は怒るよりも、むしろ呆気に取られて見つめるばかりであった。
「じゃまあ! 近藤氏の世話にでもなるか。学校なんかどうだっていいのだが、好き好んでよすにも当らないからな」と、いつものように、傲岸にいい放ちながら、にやりと青木に特有な、皮肉な、人を頭から嘲っているような、苦笑をもらした。雄吉は、自分の全心を投じた親切を、青木のために、こんなに手ひどく扱われながら、それでも青木が、とうとう自分の親切を受け入れてくれて、自分の崇敬措く能わざる青年哲学者の危急を救い得たことを、無上の光栄のように欣んでいた。
青木が、近藤家に寄寓して、雄吉と同室に起臥することになったのは、それから間もなくのことであった。今までもそうであったが、こう二人の生活が、ことごとに交渉することになってからは、雄吉の生活は、ことごとく青木の意志の支配を受けていた。近藤家から命ぜられるすべての仕事は、ことごとく雄吉の負担であった。