Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かばんのかい

革鞄の怪

泉 鏡花

Leggi 革鞄の怪 (かばんのかい) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.394 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

「御免なさいまし。」

と呼吸の下で云うと、襟の白さが、颯と紫を蔽うように、はなじろんで顔をうつむけた。

赤ら顔は見免さない。

「お前、どうしたのかねえ。」

かの男はと見ると、ちょうどその順が来たのかどうか、くしゃくしゃと両手で頭髪を掻しゃなぐる、中折帽も床に落ちた、夢中で引る。

「革鞄に挟った。」

「どうしてな。」

と二三人立掛ける。

窓へ、や、えんこらさ、と攀上った若いものがある。

駅夫の長い腕が引払った。

笛は、胡桃を割る駒鳥の声のごとく、山野に響く。

汽車は猶予わず出た。

一人発奮をくって、のめりかかったので、雪頽を打ったが、それも、赤ら顔の手も交って、三四人大革鞄に取かかった。

「これは貴方のですか。」

で、その答も待たずに、口を開けようとするのである。

なかなかもって、どうして古狸の老武者が、そんな事で行くものか。

「これは堅い、堅い。」

「巌丈な金具じゃええ。」

それ言わぬ事ではない。

「こりゃ開かぬ、鍵が締まってるんじゃい。」

と一まず手を引いたのは、茶紬の親仁で。

成程、と解めた風で、皆白けて控えた。更めて、新しく立ちかかったものもあった。

室内は動揺む。