Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.550 caratteri · 27 schermate
藤波は、眼ざしを鋭くして、
「相もかわらずのあなたの出しゃばりにも困ったものだ。駕籠屋は駕籠屋相応のことをしておればいい。よけいなおせっかいはご無用です」
「などと言いながら、その実、訊きたいのでしょう。あなたの顔に、ちゃんとそう書いてある」
藤波は、蒼沈んだ額にサッと怒りの血のいろを刷いて、
「仙波さん、ふざけるのはいい加減にしておきなさい」
「おや、ご立腹ですか。お怒りになるならお怒りになってもかまわないが、あたしの言うことをきかずに加代姫などを突きおとしたら、あなたは生涯うだつのあがらないことになりますぜ。『野伏大名』のときの例もあるでしょう、突っぱらずに、あたしの言うことを聴いてください。あなたの鼻をあかそうの、あたしがこれで功名をしようの、そんな気は毛頭ないんだから」
藤波は、唇を噛んでうつむいていたが、
「あたしも加代姫が殺ったとは、どうも納得の行きかねるところがあって、先刻からここで悩んでいたんです。……加代姫が帰ってからこの『かごや』にやって来たやつが下手人だという、あなたの推察はいちおう穿ったところがある。そこまではわたしも気がつきませんでした。