Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.904 caratteri · 28 schermate
文化の前までは、江戸の市中には日本橋の笹巻鮨と小石川諏訪町の桑名屋の二軒の鮨屋があったきり。もちろん、呼売りなどはなかった。天保の始めからおいおい鮨屋がふえて、安宅の松の鮨、竈河岸の毛抜鮨、深川横櫓の小松鮨、堺町の金高鮨、両国の与兵衛鮨などが繁昌し、のみならず鮨もだんだん贅沢になって、ひとつ三匁五匁という眼の玉が飛びだすような高い鮨が飛ぶように売れた。
鮨の呼売りは天保の末から始まったことで、そういう名代の鮨屋が念入りに握って、競って声のいい売子にふれ売りさせる。声のいい売子をかかえているのが店の自慢。
万事こぎれいで、いなせで、ふるいつきたいほど声がいい。玄人女の中には、ようすのいいのにぞっこん惚れこんで血道をあげるのもすくなくないが、こちらは荒い風にもあたらぬ大家のお嬢さん、いくら声がよくとも小粋でも、道楽者くずれの小鰭の鮨売などに迷って駈けだそうなどとは考えられない。仮に小鰭の鮨売がこの事件に関係があるとするなら、これには、裏になにか複雑んだアヤがなければならぬはず。
アコ長は、真顔になって、長い顎を撫でながら、とほんとなにかかんがえていたが、そのうちに、れいによって唐突に、