Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.040 caratteri · 26 schermate
……かりに、そのような者があったとしましたならば、このご聖代、……世にこんなあわれな話はございません。百生の長たる人間がお鶴の餌の精米をくすねて家に運ばねばならぬというには、よくよく困窮の事情があるものに相違ございません。さだめし、丹頂のお鶴も憐れと思ったことでしょうから、お餌の米が稗になろうと、粟になろうと、喜んでついばんだにちがいない。このへんが霊鳥の霊鳥たるところ。……まして、いわんや、上様お手飼のお鶴。上の御仁慈をうけつがぬことはないはず。己のために、尊い人間の一命を失わせるようなことはいたしますまい。藤波氏のお意見ではありますが、このかこい場に餌盗びとなどはこれなく、したがって水矢の、手突矢のということは、まったくいわれのないことと存じます」
このとき、はるか下座にひかえた下飼人の中で、わッと声をあげて泣き伏したものがある。顎十郎は、そんなことに頓着なく、いっそう声をはりあげ、
「そもそも、鶴は凡禽凡鳥ならず。一挙に千里の雲を凌いで日の下に鳴き、常に百尺の松梢に住んで世の塵をうけぬ。泥中に潜してしかも瑞々。濁りに染まぬ亀を屈の極といたし、鶴を以て伸の極となす。