Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.022 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

よっぽど行ってから、ようやく気がつき、二三人、床几から飛びあがって、

「やッ、泥棒!」

「飛んでもねえことをしやがる。やい、待てッ……」

砂利を蹴って後先になってバラバラと追いかけて来る。

「糞でも喰え、だれが待つか」

じぶんも大きな声で、泥棒、泥棒と叫びながら潜り門のほうへ駈けだし、

「お門番、お門番、いまそこへ盗人が走って行きます」

詰所で将棋を差していた門番が、驚いて駒を握ったまま飛びだして来る。

「やいやい、なにを騒いでいやがるんだ」

顎十郎は、息せき切って、

「ど、泥棒。……いま、ぬすっとが逃げて行きました」

「馬鹿をいえ、そんなはずはない」

「はずにもなにも……あれあれ、あそこへ……」

待て待て、そのぬすっと待て、と叫びながら潜り門を飛びだす。

和田倉門のほうへ行かずに、町奉行の役宅の塀についてトットと坂下門のほうへ駈けながら、うしろを振りかえって見ると、番衆や同心に公事師もまじって、一団になってワアワアいいながら追いかけて来る。……どっちへ逃げてもお濠のうち。

紅葉山の下を半歳門のほうへ走りだして見たが、このぶんでは半蔵門で捕るにきまっている。

「ままよ、どうなるものか、西の丸の中に逃げこんでしまえ」