Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.022 caratteri · 36 schermate
「ええ、見ましたとも! 高島田に立矢の帯の、てえした別嬪ですぜ」
「畜生ッ、お八重のやつだ。……なるほど、かんがえてみると、村垣が持っている一字をお八重が知っているわけはない。……おれに痺れ薬を嚥ませてその間に早駕籠の用意をし、痺れがとれたらおれが闇雲に飛び出すのを見越して、古梅庵の角で待っていやがったんだ。……こうまで馬鹿にされりゃ世話はねえ」
「……ねえ旦那、もうひとつ妙なことがあるんです。……女の早駕籠のあとを、もうひとつ早駕籠が来るんで……」
「えッ、その駕籠はどこからついて来た」
「それも、やっぱり古梅庵の角からなんで……」
「どんなやつが乗っていた」
「頬のこけた、侍のような、手代のような……」
「ちぇッ、村垣の野郎だ。……おれは草加までお八重をひっ張ってゆき、お八重は草加まで村垣を案内するというわけか。……してみると、一番の馬鹿はこのおれか。畜生ッ、そんなら、おれにもかんがえがある」
大声で駕籠舁どもに、
「おい、おい、少々わけがあって、おれは向うの土手のあたりで駕籠から転げだすから、お前たちはここから脇道へ入って、上総のほうまで出まかせに飛ばしてくれ。