Classici giapponesi con furigana
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かお
顔
宮本 百合子
Leggi 顔 (かお) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.099 caratteri · 23 schermate
「どれ、――ふうむ、いい児だこと」
郵便局の細君は、フランツの顎の下を擦(こす)った。伏目になって微笑みながら子供の顔を見ていたルイザはやがて、おやと思ってひそかに注意を集めた。フランツの顎を擦っていた細君の光沢のある指先の働きは、妙にのろくなった。そして、ルイザにははっきり感じられた一種の感情をもってそのまま止ってしまった。下を向いたまま彼女は自分の顔と嬰児の顔とが素早い偸むような一瞥で見較べられるのを感じた。指先は、そっとフランツのくくれた軟い顎の下から引こめられた。そして、郵便局の細君は、ほんの一足ルイザからどき、殊更な、まるで溜息と一緒にはき出すような調子で云った。
「まあ、綺麗なレースをお持ちだことね」
ルイザはかっと眼の裏が熱くなるように思った。
レースは確に結構なものであった。彼女の曾祖母が、サクソニー太公夫人の侍女を勤めた時拝領したそれは、まがいなしの伊太利亜絹レースであった。それを褒められるのは嬉しかった。彼女が嫁入りに母親から貰った唯一の本当に立派なものだったから。けれども、この人は、また何という妙なほめようをするのだろう。
焦々した思いがつき上げて来た。