Classici giapponesi con furigana
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かぜのたより
風の便り
Leggi 風の便り (かぜのたより) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.044 caratteri · 66 schermate
、なんにも書けなくなりました。愚痴は申さぬつもりでありました。ありましたが、どうか、此の愚痴一つばかりは聞いて下さい。私は、批評家たちの分類に従うと、自然主義的な私小説家という事になって居ります。それは、あなたが一口に高踏派と言われているのと同じくらいの便宜上の分類に過ぎませぬが、私の小説の題材は、いつも私の身辺の茶飯事から採られているので、そんな名前をもらっているのです。私は、「たしかな事」だけを書きたかったのです。自分の掌で、明確に知覚したものだけを書いて置きたかったのです。怒りも、悲しみも、地団駄踏んだ残念な思いも。私は、嘘を書かなかった。けれども、私は、此頃ちっとも書けなくなりました。おわかりでしょうか。無学であるという事が、だんだん致命傷のように思われて来ました。私には手軽に、歴史小説も書けません。作品の行きづまりは、私のようなその日ぐらしの不流行の作家にとって、すなわち生活の行きづまりでもあります。私に、何が出来るでしょう。私は戦地へ行きたい。嘘の無い感動を捜しに。私は真剣であります。もっと若くて、この脚気という病気さえ無かったら、私は、とうに志願しています。